いけばな嵯峨御流

4月30日。嵯峨御流華道弘友会司所の師範総会、師範授与式に出席しました。

大阪市天王寺区にある、弘洲会館にて、嵯峨御流華道弘友会司所の師範総会、新師範授与式と祝賀会が開催され、総会の中でデモンストレーションをさせて頂きました。

端午の節句に因んで「薬玉(くすだま)」をつくり、また、五節句の花として、生花「端午の節句の花」をいけました。

<端午>とは5月初めの午の日という意味で、古代中国では、災難を避けるため、香りの強い蓬で人形を作って門戸に掛けたり、同じく強い香りの菖蒲(サトイモ科。アヤメ科の花菖蒲と区別するため真菖蒲とも呼んでいる)を刻んで酒に入れた菖蒲酒などを飲み魔除けにした故事が日本に平安時代頃に伝わっています。その習慣は貴族の間に広まり、真菖蒲や蓬また香草などの薬草を摘んで玉にしたものに造花を飾ったものを「薬玉」と呼んで、長い五色の糸を垂らし、貴族の間で好んで贈答された、というようなことが枕草子にも書かれています。「薬玉」は、現代でも新築祝いなどのセレモニーで厄払いとお祝の意味で用いられている、そのルーツになるものです。

今回の「薬玉」は、私の見立てで、香草を錦の布で包んだものをピンポン菊で、飾りの花を三色の芍薬でつくり、五色の糸の見立ては菖蒲の葉にしました。

生花「端午の節句の花」は、嵯峨御流の伝書に載っている生け方で、5月5日の一日限りのいけ方として、水草である真菖蒲の葉で体と用をいけ、留には陸草の蓬をいけます。真菖蒲には、華やかな花菖蒲のような花ではなく、サトイモ科特有の蕊状花穂がつくため、昔の人はこの花を<実>と呼んで、用の葉の間から咲いているようにいけるいけ方が伝わっています。用の3枚組と、<実分けの葉>と呼ぶ用の前囲いの間に小指くらいの小さい蕊花が入っております。華やかさを添えるため、アヤメ科の花菖蒲の花を体に添えます。

私のデモンストレーションの後は、副司所長による、<木の花包み>の講習でした。庭の一枝をお客様などに差し上げる時、水揚げを施して、このような折り方に包んで差し上げると、心がこもりますね。

総会・.新師範授与式は弘洲会館内で行われ、新師範授与式は5階の和室に於いて、司所長が親示朗読を行い、嵯峨御流の原点をお話しされるなど、厳粛な雰囲気の中で行われました。手作りだからこそ伝わる誠意や絆を強く感じた一日でした。デモンストレーションなど、準備万端に整えて下さった役員の先生方に感謝申し上げます

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