4月13日。第11回いけばなインターナショナル世界大会in沖縄。嵯峨御流デモンストレーションのご報告。
4月12日から15日まで、第11回いけばなインターナショナル世界大会が沖縄コンベンションセンターで開催されました。常陸宮妃華子殿下、名誉総裁高円宮妃久子殿下、絢子女王殿下ご臨席のもと、1100名の世界50数ヶ国からの会員がこの一週間に7流派のデモンストレーションと花展を通じて友好を深め合う素晴らしい大会でした。大覚寺から黒沢全紹門跡猊下にもお運び頂きデモンストレーションをご覧頂きました。
13日、嵯峨御流のデモンストレーション、一作目は舞台上に沖縄の斎場御嶽 に向かい、まず沖縄の神様にご挨拶と祈りを捧げる場面を、真言宗大覚寺派青年教師会の皆様に声明 散華をして頂きながら祈りの花「荘厳華」を、立てました。紫の袴と千早を着て、供花侍者を務めて下さったのは、沖縄司所の皆様方です。最年少は高校生でした。
2作目から4作目までは、舞台に日本列島を花で見立てていけていきました。 自然の風景をいける「景色いけ」の中から、「北海道の深山の景」を、北海道からコンテナで運ばれてきた蝦夷松を中心に貝塚伊吹やゴールドクレストなどを用いて雪解けの深山幽谷の遅い春を表現しました。下の方にいけているのは、水芭蕉です。
深山の景で表現される水は源流であり、深山を源として発する水が森林を育て、野辺を潤し、池や湿地にとどまり新しい生命を発生させ、やがて河川となり豊かな水量をたたえながら大海に流れ込むまでの特徴ある水と自然が織りなす姿を「七景」として、七つ並べると一つの大景観が表現できます。海水は、やがて蒸発して雲となり、雨となって再び山頂に運ばれ、一連の流れは永遠に循環します。その水の流れのサイクルの始まりが、この深山の景の中から生まれる水の源流だといえます。
ここに、立ち枯れの木を入れているのは、景色いけの深山の景の「型」なのですが、うっそうとした深山の山の中には時折、雷が落ちてその部分が焼けて日が差してきます。そこに、日がさして、低木やさらにスミレやたんぽぽなどの小さな命が芽を出します。そのように、極相を示す山の姿の中にも、ダイナミックな命の循環が常になされていくことの象徴がこの木なのです。
景色いけは、いけばなでごく身近な連続した山から海までの風景に美を見出し、環境を愛する心を生み育てるという考え方です。大切なことは、風景は人と自然の係わり合いによって保たれ、かつ「その七景のどれ一つかけても自然環境はおろか生命観が欠けてしまう」ものであるということです。