いけばな嵯峨御流

2016年10月29日。京都嵯峨芸術大学 学生華道展を拝見しました。

学校法人大覚寺学園大学 京都嵯峨芸術大学の学園祭「嵐芸祭」において、授業として華道を履修している学生130名による「学生華道展」が大学構内の第六演習室にて開催され、10月29日に華展を拝見してまいりました。芸術学部1回生から4回生、また短期大学部と専攻科までの130名もの学生がいけた作品はいずれも力強く、一作一作丁寧にいけておられて、学生の日頃の熱心な受講と、華展に際し本気で花に向き合っている姿が感じられて、とても感動致しました。

展示は、嵯峨御流独特の景色いけや、会場中央の高学年クラスの学生によるオブジェ作品なども交え、意欲溢れる会場構成となっていました。

 

この大学の華道の授業は、半年ずつレベル1からレベル8まで段階を経て指導が行われ、8を履修し終えると、華道正教授の資格を取得することもできるのです。今回の華展は、昨年までの講師と今年度講師の先生方のご尽力のおかげで、作品が年々レベルアップしていくように感じました。

 

私が会場で感じたこと。それは、学生の本気と一生懸命さ。いけばなには、人の気合いが表れるものだと、改めて実感した次第です。

学生にも、よく頑張りました、とねぎらいの言葉とともに、お互いが調和よく、譲ったり助け合ったり、一つの素晴らしいチームワークを華展でみせてくれたことを、褒めてさしあげたいと思います。みんなが力を合わせれば、このような、凛とした気配漂う華展ができることを、この体験を、一生忘れず心に持っておいていただきたいとも思います。

そして、何より忘れてはならないのは、いけばなという、命ある花を生けて作品をつくる芸術は、花をいけるということだけだけではなく、今回の華展のように、準備構成はもとより、いけこみの段取り・花材の調達と調整・メンテナンス・ストック花材のケア、花がいつも美しく展示されるための全体と自分の役割と行動など、これらのどれ一つ欠けても華展はうまくいかないこと。そのために、表面には出ない講師の先生方や、職員の方のご苦労に、心を馳せることができる人であってほしいです。

華展当日には、お客様を迎える喜び、会場のエネルギーと素晴らしい植物の気の中で自分の作品が輝いて見えた嬉しさ、自分がメンテナンスできていない時でも誰かが水を差し枯れた葉をそっとのぞいてくれている事に気が付く事でしょう。

華展会場を誇らしくご案内できるためには、目に見えない沢山のチカラが必要です。

全体の中の自分が、いまどう動いたら良いか、またお客様を気持ち良い応対でお迎えする事・感謝の心・隣同士また全体の中での自分の振舞い・など、華展は花会すなわち人と人が出会い花を通じて喜びを分かち合える場所でなくてはなりません。学生が、この華展で学ばれた多くの事はきっと未来の自分に大いに役立つことになります。

今回、お世話になった隣同士の人に、クラスのみんなに、大変お世話になった講師の先生に、職員さんに、すべての感謝の気持ちを言葉に出して終わっていただきたいと思います。

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