いけばな嵯峨御流

10月22日14時から、龍村平蔵社長様とのトークショーが行われました

トークショーでのデモンストレーションでいけた文人華は、四代平蔵社長様の襲名十周年を祝う花として「鳳瑞平安」を選びました。雅題の意味は、偉大なる人物の徳を讃え、その御代の永からんことを祈るというものです。吉祥の瑞兆である鳳凰は桐の木に棲み、竹の実を食し、醴泉の水を飲むと言われることから、桐と金明竹を配します。黄色の薔薇は、黄色で君子の徳を、薔薇に長春の意を込めて、弥栄を寿ぐ花としました。

もう一作はこの度の「龍村織物×嵯峨御流」コラボレーションのご縁に感謝する花として嵯峨菊をいけました。1200年前の平安時代、嵯峨の地を愛された嵯峨天皇が離宮を建てられ、その庭の池に咲く菊花を手折り宮殿に生けられたところ、菊の花には自ずと天地人の三才が備わっていた。このことに感動された嵯峨天皇が、後世花をいくる者はこれを範とすべし、と仰った事が嵯峨御流の始まりです。以来、門跡寺院となって現在もこの地にある大覚寺の中に、命の大切さと世界平和を願う嵯峨天皇の御心を継承する華道として伝わっています。

嵯峨菊は、嵯峨天皇が愛された野菊に改良を重ねたものと言われ、嵯峨の湿潤な気候の元でのみ美しく整うとされています。咲く時期が普通の菊より遅く、嵯峨野が紅葉に彩られる11月頃咲き出します。特に、大覚寺には、独特の雅な仕立て方を以て大覚寺門外不出の菊とされる寄植えの姿が伝承されており、毎年11月の1日から30日まで寺内に約800鉢の嵯峨菊が旧嵯峨御所大覚寺の堂宇を彩る風景は、王朝も雅そのものの艶やかさです。

私のデモンストレーションでは、京都から総司所の職員さんが運んできて下さった嵯峨菊に、もう直ぐ色づく嵯峨野の秋を想い入れて、ドウダンツツジと寒菊を添えています。

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