いけばな嵯峨御流

大阪 うめだ阪急コンコースウィンドー迎春花2025

嵯峨御流の約100名がいけた、2025年の大阪うめだ阪急  コンコースウィンドー迎春花をご紹介します。1月13日までご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りくださいませ。
向かって右から。
1号ウィンドー「胡蝶の舞」
源氏物語 第24帖「胡蝶」に描かれる、源氏六条院の庭池で雅楽の舞などに興じる平安貴族の華やかで晴れやかな宴の様子を想いながらしつらえた。
襲(かさね) の色目に縁どられた背景の中で、姫君がかざした檜扇を垂撥(すいはつ)にかざり、一対の龍頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)のうち、鷁首舟(げきしゅせん)をかたどった銅器に胡蝶蘭をいけている。鷁(げき)は古代中国の想像上の水鳥で、風によく耐えて大空を飛ぶといわれ、現代でも水難を防ぐ意味で船首に鷁の彫刻または絵画が飾られる。
花材:胡蝶蘭
2号ウィンドー「百花魁(ひゃっかのさきがけ)」
連続する2号.3号.4号3面のウィンドーを、松・竹・梅と三間続きの障壁画に見立てた。このウィンドーは大覚寺障壁画「紅梅図」(狩野山楽筆)の構図をもとにいけた。
「百花魁(ひゃっかのさきがけ)」とは、梅の異名。狩野派が得意とした大画面に描かれる巨大な紅梅の樹幹の圧倒される姿と、うねり広がる枝の姿をとらえ、横に広がる枝を竹の間のウィンドーへと展開している。
寺号勅許1150年を令和8年に迎えられる大覚寺の、重要文化財障壁画などの宝物は1月21日~3月16日の間、東京国立博物館 特別展「旧嵯峨御所大覚寺 ―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」で拝見できる。
花材:梅 サルノコシカケ 松葉蘭 石菖 笹 ほか
3号ウィンドー「平安富貴」
厳寒に耐えて力強く生きる植物「松」「竹」「梅」の組み合わせは、もとは中国で描かれた雅題「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」が日本に伝わったものである。
日本では縁起の良いおめでたいものとして吉祥の意匠に使われてきた。
このウィンドーでは大覚寺「竹の間」「牡丹の間」の障壁画を見立てて、強い生命力・成長と繁栄の象徴「竹」と花の王と言われる豪華で品格ある「牡丹」を主題とした。
竹の異名は無事平穏という意味の「平安」。牡丹の異名「富貴」を合わせて、「平安富貴」の雅題を表した。題意は、富や豊かさに加えて心も穏やかに暮らすことができる、というもの。
花材:竹 松 梅 牡丹 椿 シャガ ほか
 
4号ウィンドー「不老長春」
お正月の神様を迎え “神を待つ”ことから“マツ“と呼ばれる松は、常緑で樹齢が長く、不老長寿の象徴。また、佳き縁の象徴とも言われる。
縁起物としての始まりは、平安時代の、長寿祈願の宮廷儀礼である「小松引き」で、現代でも門松へとその意が伝承されている。
大覚寺宸殿「松鶴図」に描かれた松の姿を、このウィンドーでは五葉松を用いてあらわした。
常磐木である松の異名「不老」と、薔薇の異名「長春」を合わせた雅題「不老長春」は、いつまでも若く長生きをする、理想の境地。
花材:五葉松 薔薇 十両 千両 苔 蛇のヒゲ ほか
 
5号ウィンドー「初夢」
令和7年新年歌会始の御題は「夢」。吉夢を見ればその年は幸運が授かるといわれる。 
室町時代頃から良い夢を見るには七福神の乗っている宝船の絵に回文(かいぶん)を描いたものを枕の下に入れて寝るとよいとされた。この作品は、吉兆の宝船をいけている。
宝船の回文の言葉は「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」(長き夜の遠の眠りの皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)
題字の横の回文は、始まりの目印として漢字の「奈」から右回りでも左回りでも同じ読みとなる。
「奈」の文字には豊かさ、実り、栄える、華やか等の意味があり、「初夢」の題とともにどのような一年になるのか奈、と期待も高まる。
花材:桐 南方竹の根 ユッカ タビビトノキ 葉牡丹 百合 ネオレゲリア 海松 ほか
6号ウィンドー「乙巳(きのとみ)」
乙巳年は創造性や発展が促進される時期と言われる。蓄えてきた力を発揮して夢を実現させる年にしたいものである。
巳歳のシンボルは蛇、この作品には蛇の目松という名の松を用いた。巳(み)と実(み)を掛けて巳歳は「実を結ぶ」年と言われることから、松にいだかれるように南天をいけて、子孫繁栄を願う。
花材:寿松 蛇の目松 サボテンスケルトン南天 ピンクッション 古木 ほか
 
7号ウィンドー「奏(かなでる)」
7面のウィンドーの向かって右端は舞をテーマにし、このウィンドーでは音曲を表現して、ウィンドーのはじめと終わりをつないでいる。
音楽とは陰陽の調和。音を重ねて言祝ぎの響きを奏でる趣向とした。漆塗りの花器は旧嵯峨御所好「奏(かなでる)」。雅楽の十二律の音階を表現している。柳の線の交わりには音の調べを託した。古代中国の瑞鳥である鳳凰の鳳=オス、凰=メスそれぞれの鳴き声に6つの音階があったので、陰陽で合わせて十二音律ができたという(『呂氏春秋』より)。
花材:柳 蘭

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