いけばな嵯峨御流

大田神社のカキツバタ

神山や大田の沢のかきつばた

           深き頼みぞ色にみゆらむ 

                                                藤原俊成

 

平安~鎌倉初期の歌人 藤原俊成76歳の『五社百首』の中の一首。

京都市の北のほうにある上賀茂は、平安の昔、一面の湿地帯であったところを賀茂氏が開墾されたといわれています。大田神社は、賀茂氏に崇敬された神社で、その境内には、古代の沼沢の名残である「大田の沢」と呼ばれる沼沢があり、古代からカキツバタが自生していたようです。昭和14年に国の天然記念物に指定されています。

 

冒頭の歌の意味を、松本章男『京都うたごよみ』の解釈を引用させていただくと、「神山(こうやま)」は上賀茂神社の御祭神・別雷神(わけいかづちのかみ)が神山に御光臨されたことから、上賀茂神社の摂社の大田神社にかかる枕詞。「頼み」は神への帰依・信仰心。「大田の沢の杜若は今年もすでに花をひらいたことでしょう。賀茂の神への深い帰依心があるから、あのように濁りのない、清らかな紫の色に咲くことができるのですね」となります。

 

4月24日に、おそらく今年はじめての開花が見られました(写真提供:法眼玲子様)2輪並んで咲いています。沢山の蕾が、これから一斉に咲きだすことと思います、楽しみです。

5月2日に、京都上賀茂・大田神社にて、「大田の沢の杜若といけばな」のテーマで講演をします。

大田の沢の杜若が盛りをむかえる5月に、地元の方が主催される「第15回寺子屋」勉強会にて、ゲスト講師にお招きいただきました。「寺子屋」のスタートは、「主は変わるが社家住宅は残す」のテーマを以て、賀茂文化についての勉強会を続けていらっしゃいます。

今年10月に行われる上賀茂神社御遷宮の際、10月17日に大覚寺嵯峨御流献花式法会が行われる事が決まっており、今回の寺小屋では、私が大覚寺嵯峨御流のいけばなの世界と、映像により献花式の説明を致します。

なお、後半は討論会となり、太田神社の神職様と社家の方とで、大田神社の歴史と杜若がいけばなの世界を見らせたわけ」について意見交換会となります。

日時 5月2日(土)14時~16時

場所 大田神社内

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