8月9日。京都市地域女性連合会の夏期講座で講演をさせていただきました
京都アスニーで開催された、京都市地域女性連合会の夏期講座には150名ほどの会員の方々がお集まりになり、会場は後ろの端まで満席、ご盛会でした。
わたくしは、「いけばなで自然環境を守る」のテーマで1時間半の講演と、話の中で景色いけ七景のうちから「深山の景」「沼沢の景」をいけさせていただきました。
「いけばなで環境を守る」とは、美景観をスポット的に守るという考え方ではなく、日常目にするごく身近な風景に美を見出すという考え方です。いけばな嵯峨御流では、日本の美しさは「生命を育む水の流れが、深山から流れ出て海辺に行き着くまでの連続した変化によって生み出されるもの」であるとし、それら深山から海浜までの風景「七景」によって表現される「景色いけ自然態応用七景三勝」を昭和6年に発表しました。
大事な事は、環境・風景は人と自然との係わりあいによって保たれ、かつ七景は、どれ一つ欠けても日本の自然環境、生命観が欠けてしまうものであること。
いけばなとは、「自然と共にてをつなぎ自然をわが心のものにしたいという、その必然的欲求」から生まれた、日本独特の文化だということです。いけばなは日本特有の、五感を通じた自然とのふれあいで生み出される精神と自然美の融和の心の育成の必要性を説いた、まさに次世代に残したい「未来へのメッセージ」であるといえます。
この意味において、SDGsの到達目標の一つである世界の環境問題に対して、「美しく豊かな地球」を未来に継承していくため、世界各地の人々と絆を強めながら美しい地球の原風景や、水と人々との関わりから生み出される素晴らしい景観を未来に引き継いでいくための活動の第一歩として、自然を慈しみ関心を持つ心を、家庭の中で育むことが、ひいては地球の環境保全へとつながっていくと考えています。
皆様、残暑厳しい中にもかかわらずとても熱心にご清聴くださいましたこと、このような機会をいただきましたことに心より感謝しております。