いけばな嵯峨御流

6月20日。大正大学仏教学科での講義

東京 巣鴨の、大正大学仏教学科の仏教学基礎コースと仏教文化遺産コース合同の授業においてゲスト講師としていけばなの講義をいたしました。毎年、春学期の講義と秋学期の荘厳華実技実習を一回ずつ担当させていただき今年で11年目になります。
 
大正大学仏教学科のホームページには、
「仏教の学びから『今』を見つける。」とあります。背景に深い哲学、思想、歴史、文化をもつ仏教の学びから今を見つける・この言葉は伝統文化いけばなにも通じる事です。
 
この日、わたくしの講演タイトルは「いけばなで自然と生命の大切さを学ぶ」。大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。
嵯峨御流のすべての花態の根底には仏教の宇宙観がありますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと、一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。
最後に、瓶花と荘厳華「そわか」を石田啓甫先生にいけていただきました。密教の六大思想というものが反映された花型である荘厳華は、それぞれの役枝に六大を形にして表現しています。
曼荼羅の宇宙観である六大無礙の思想を、森羅万象の「地・水・火・風・空」の5つの役枝と、精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明し、秋学期にはそわかを実習してもらいますとお伝えしました。
 
参考花は日曜日に行われるオープンキャンパスまで飾ってくださるそうで、嬉しいことです。

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