いけばな嵯峨御流

2月14日。高野山大学でゲスト講師をつとめました。

高野山大学河内長野キャンパスにおいて、教育学科「キャリアデザイン」科目のゲスト講師をつとめました。

私の講演概要はつぎのとおりです。
「大覚寺は1200年の歴史があり、もと嵯峨天皇の御所だったところ。その御所で発祥したのが嵯峨御流です。当初はまだ嵯峨御流という名前ではありません。後になって名前が誕生しました。日本の公的な記録の中では、類聚国史という書物の中に、嵯峨天皇がお花をいけられたという記録が残っております。嵯峨御流は、密教的な思想体系をもった華道であります。自然に対する畏敬の思いを抱くことは宗教心そのものであり、人や草木など自然界にあるすべてのものに等しく備わる命を愛しみ、最高に生かそうとするのが嵯峨御流いけばなの精神であり「花即宗教」と表現しています。」
続いて、大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。嵯峨御流のすべての花態には仏教的宇宙観が現れていますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。SDGsの目的である「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」に関連して、生活空間の中に自然の風景を見立てていけばなでいけ、自然に目を向けて慈しむ心を養う事から自然環境保全の心を産み育てることができるのではないかと結びました。

デモでは、景色いけ以外に荘厳花と瓶花をいけてご紹介しました。密教の六大思想をあらわした荘厳華は、曼荼羅の宇宙観である六大無碍の思想を、森羅万象を表す「地・水・火・風・空」の5つの役枝と精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明し、瓶花では、竹器に梅・菊・蘭で『四君子』の取り合わせの話をしまして、授業は終了しました。

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