5月21日。大正大学(東京)で、仏教学科基礎ゼミナールの授業を担当しました。
平成30年5月21日、大正大学仏教学科で授業を担当させていただきました。毎年春学期・秋学期にゲスト講師としてお招きをうけて、今年で6年目になります。今回の登録受講生は30名です。
まず、自己紹介を兼ねて、大覚寺と嵯峨御流の歴史についてお話を致しました。
大覚寺は1200年の歴史があり、もと嵯峨天皇の御所だったところです。その御所で発祥したのが嵯峨御流で、当時はまだ嵯峨御流という名前ではありません。
後になって名前が誕生しました。日本の公的な記録の中では、類聚国史という書物の中に、嵯峨天皇がお花をいけられたという記録が残っております。
嵯峨御流は、密教的な思想体系をもった華道ですというようなお話をし、嵯峨御流の紹介の後、私の講義に移りました。
講演テーマは、「いけばなで命と自然の大切さを学ぶ」です。大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。
嵯峨御流のすべての花態に曼荼羅の宇宙観が現れていますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと、一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。
最後に、荘厳華を「そわか」を用いていけました。密教の六大思想というものが反映された花型である荘厳華は、それぞれの役枝に六大を形にして表現しています。
曼荼羅の宇宙観である六大無礙の思想を、森羅万象の「地・水・火・風・空」の5つの役枝と、精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明して、授業は終了しました。
皆さん、とても熱心に聞いてくださり、本当に嬉しく思いました。
本日の授業は、派遣講師の石田啓甫先生に助手をしていただきました。基礎ゼミナール担当教授の米澤嘉康先生、助手の池田そのみさんも授業を見守っていてくださいました。
秋学期は、荘厳華「そわか」の実技をする予定ですので、いまからとても楽しみにしています。