6月15日、弘法大師お誕生祭
6月15日(水)大覚寺心経前殿に於いて、弘法大師空海様のお誕生祭の法会が行われました。
お堂には、稚児大師の木像に、甘茶をお掛けする花御堂が置かれています。そして、今年一年間大覚寺の中でお坊様の修業を積まれている、伝灯学院の院生さんお二方の、書といけばなも奉納されていました。
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Profile
辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。
平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。
そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。
6月15日(水)大覚寺心経前殿に於いて、弘法大師空海様のお誕生祭の法会が行われました。
お堂には、稚児大師の木像に、甘茶をお掛けする花御堂が置かれています。そして、今年一年間大覚寺の中でお坊様の修業を積まれている、伝灯学院の院生さんお二方の、書といけばなも奉納されていました。
大正大学 仏教学科で、毎年春学期・秋学期一回ずつゲスト講師として招聘を受け、今年で4年目になります。今年は、6月13日に伺いました。登録受講生は36名です。まず、自己紹介を兼ねてお話を致しました。
「大覚寺は1200年の歴史があり、もと嵯峨天皇の御所だったところ。その御所で発祥したのが嵯峨御流です。当初はまだ嵯峨御流という名前ではありません。後になって名前が誕生しました。日本の公的な記録の中では、類聚国史という書物の中に、嵯峨天皇がお花をいけられたという記録が残っております。嵯峨御流は、密教的な思想体系をもった世界で唯一の華道であるといえます」という嵯峨御流の紹介の後、私の講義に移りました。
講演テーマは、「いけばなで命と自然の大切さを学ぶ」です。大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。嵯峨御流の花態にはすべて曼荼羅の宇宙観が現れていますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと、一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。
最後に、荘厳花を「そわか」を用いていけました。密教の六大思想というものが反映された花型である荘厳華は、それぞれの役枝に六大を形にして表現しています。曼荼羅の宇宙観である六大無礙の思想を、森羅万象を表す「地・水・火・風・空」の5つの役枝と精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明しました。最後にスモークツリーと山百合を瓶花にいけ、授業は終了しました。
皆さん、熱心に聞いてくださり、嬉しく思いましたし、担当教授の神達先生、仏教学部長 林田康順先生、秋学期の授業では、荘厳華「そわか」の実技をする予定ですので、楽しみです。
創立60周年 を迎える、いけばなインターナショナル(略してI.I.)東京支部6月の例会に出席しました。
I.I.名誉総裁高円宮妃久子殿下と絢子女王様の御成りのもと、赤坂のホテルニューオータニで開催され、妃殿下のお言葉に続いて、小原流五世家元 小原宏貴先生のデモンストレーションが行われました。
約一時間の宏貴先生のデモンストレーションのテーマは「緑陰礼賛」。優しく楽しい語り口でお話なさりながら、ダイナミックな作品や麗しい琳派調の作品など、次から次へといけあげられるステージに魅了されました。
会場では、高円宮妃久子殿下にご挨拶をさせていただきました。妃殿下は、平成26年11月に嵯峨菊観賞の為大覚寺へ御成りになったおりの事を懐かしくお話下さいました。その折、御前で私共がデモンストレーションで嵯峨菊のいけばなをご覧いただいた時の事をお隣におられる絢子女王様にもお話し下さり、大変光栄な事でした。
また、御来賓として出席された3か国の大使夫人の中に、駐日ロシア連邦大使夫人オルガ・ア ファナシエワ様がいらっしゃり、思わず手を取り合って再会を喜び合いました。
平成25年4月嵯峨御流の華道祭「美しい地球をいける『大使夫人といける愛すべき世界の風景』」に8か国大使夫人をお招きして自国の風景をいけていただいた時に、ロシア大使夫人は「冬のタイガ」という テーマで見事ないけばな作品をいけて下さったのでした。
600名ものご参加で大変盛会に行われた、この会の最後に、インターナショナル会長の片野順子様が檀上に立たれ、来年4月12日~15日まで沖縄で開催される「いけばなインターナショナル世界大会」には、世界50か国161支部から、既に905名の方が参加登録されていますので皆様是非ご参加ください、とのお話しがありました。
私は、今日の会に参加し、また高円宮妃久子殿下の熱いお言葉や小原先生の世界観、いけばなは世界を友好の輪で結んでいくという信念を 持って1956年に I.I.を立ち上げられたミセス ゴードン アレン夫人のご功績に想いを馳せ、心が熱くなりました。 I.I.を通じて、流派や言語、人種などを越えていけばなが世界に広がっていくことは素晴らしいと思います、命の大切さ と平和を願う心を世界に広げるために、私も何か尽力させていただきたいと思いました。
小原流大阪支部 第六大阪市内地区花展が、大阪国際交流センターギャラリーにて開催されました。この会場は、私方の一般財団法人弘洲会館からすぐ近くでもあり、会館での会議の前に拝見に伺いました。
いけばな女性作家展の小原流元運営委員・安倍冨美子先生、現在運営委員の杼村(とちむら)麻美子先生も出瓶されていて、杼村麻美子先生とは親しくお話もできて、嬉しい時を過ごさせていただきました。皆様が楽しんでいけられた、その息遣いが胸に響くような爽やかな華展でした。
6月4日、5日の両日二葉流家元華展が、あべのハルカスのある近鉄アート館で開催され、5日に拝見させていただきました。
華展のテーマは「妙趣清宴」。いけばなと南宗盛物を堪能させていただき、五代目堀口昌洸家元ご夫妻と、お嬢様の桂邦先生にもご挨拶できました。
6月6日は、いけばなの日。昔からお稽古はじめは6月6日、とされてきた事に因んで全関西のいけばな界で連携し、提唱しているものです。
京都いけばな協会では、6月4日、5日の両日、京都いけばなプレゼンテーション2016<伝統と現代 花会>のテーマのもと、華展やいけばな体験、またアーティストトークとして華道家のお話など、濃い内容の催しが開催され、留学生などで賑わっていました。
華展に出瓶されていた嵯峨御流の3作品をご紹介します。
嵯峨御流会とは、次の目的で平成15年に発足した会です。
https://www.sagagoryu.gr.jp/sagagoryukai/
* 嵯峨御流の精神と伝統を守り、「今」に活かすとともに、 「未来」へ生き生きと継承すべく、平成15年に発足しました。
* 総司所と連携し、全国ネットで相互の親睦を図りつつ、自己の研鑚と嵯峨御流いけばな文化の高揚に努めることを目指します。
* 会員各自の向上心、独自性をさらに引き上げるべく、会員の声を生かし、会員の皆さまに喜んで参加していただける活動を推進します。
平成28年度の総会が5月21日に開催され、そのご報告記事を会長からいただきましたので、ご紹介いたします。私は、残念ながら所用の為、出席できませんでした。
「平成28年度の総会を5月21日(土)、大覚寺の華道芸術学院に於いて開催いたしました。 午前中は、、御来賓の久保洋巳華道課長様のご挨拶を頂戴した後、全国から集まった会員によって熱心に議案が審議され、それぞれ承認可決いたしました。 役員選出では会長に宮本登美甫氏が再任されました。 午後からの講師に和歌の家元・冷泉家第25代当主、冷泉為人先生をお迎えしました。 講演に先立ち黒沢全紹 門跡猊下と御歓談をされ、その後「日本人の自然観」と題した記念講演を賜りました。 スライドを交えての奥深いお話に一同魅了され、有意義な一日となりました。 嵯峨御流会 宮本登美甫」
大覚寺大沢池に、「名古曽」蓮の浮葉が出だしました。ヒシも沢山出てきています。
7月30日は、華道総司所主催の「遊花一日 夏期大学」が行われ、受講者の方に観蓮節(象鼻杯)をお楽しみ頂く事になっていますので、今年も元気に開花してくれるよう祈っています。
象鼻杯とは、蓮の葉に酒を注ぎ、その酒を、長い茎の先端から飲む、その様子が象の鼻のようであることから名づけられたもの。とても優雅な楽しみと言えます。接待役は、千早の装束を付けた嵯峨御流会の先生方です。
遊花一日夏期大学では、京都嵯峨芸術大学の多田千明先生を講師にお招きして、「造形美と IKEBANA」と題して、多田先生の作品にいけばなとの出会いをライブのような形で、楽しんで頂くつもりです。
また、午後からは、受講生の皆様が花器や花留を創作し、花を関わらせるチャレンジをして頂きます。
詳細は嵯峨御流ホームページの「お知らせ」をご覧下さいませ。
古流松涛会の90周年華展を拝見し、会場で、お家元榎本理福先生にご挨拶させていただきました。
作品お写真を撮らせて頂きましたのでご紹介いたします。
雲一つない晴れやかな日となった平成28年5月29日(日)、東北・関東地区連絡協議会主催「いけばな公開講座『華やかな平安文化の薫りをいける』」が、東京都内のコクヨホールにおいて開催されました。
関東地区8司所(東京司所、埼玉司所、神奈川司所、東都司所、横浜司所、東京公友会司所、東京御流司所、信州司所)及び東北地区3司所(秋田司所、山形司所、仙台司所)からの受講生で、会場は満員でした。
開演に先立って、大覚寺執行 草津栄晋部長様から 大覚寺カフェについてのお話しがあり、大覚寺カフェの素敵なホームページの映像の一部を、プロジェクターで皆様にご紹介されました。その後、開講ご挨拶が大用裕甫関東地区連絡協議会運営委員長からありました。
公開講座 第一部の私の50分の講演は、「いけばなで美しい地球を守る」。
続いて、服部孝月華道企画推進室長と私で、深山の景・城ケ崎海岸の海浜の景をいけました。
第二部の50分間は、デモンストレーション。テーマは「花まんだら」。服部先生と 私で。地、水、火、風、空の五大森羅万象をいけばなで表現しました。
地:「深山の景」・・・貝塚伊吹・古木・夏櫨・躑躅・小菊・岩
水:「荒磯の景 城ヶ崎海岸の風景」・・・溶岩・岩・松
火:青銅「爵」花器に、炎のイメージで。・・・炭、楓、煙の木、ヘリコニア、美人蕉、グロリオサ、金着色芭蕉の葉
風:嵯峨好み「四方」に、芭蕉の生花。
空:「亀甲」の花器を用いて、荘厳華。・・・パンパス、松、ビャクシン、サツキ、紫陽花、アンスリウム、他
閉会のご挨拶は、伊藤竜甫東北地区連絡協議会運営委員長でした。
森羅万象をテーマにいけた舞台の花が発する響きが、見て頂いた受講生の方の心に伝わり、会場全体が一つの大きな熱気に包まれたように感じ ました。
ご協力いただいた東北・関東地区の先生方に感謝、舞台の助手をしていただいた研究生の方々に感謝、そして舞台の花を一心に見つめて下さった皆様にも心から感謝申し上げます。