8月20日18時。大覚寺宵弘法
「宵弘法」は毎年、8月20日の夜18時から行われている、弘法大師様のご遺徳を偲ぶとともに除災招福を祈念し、ご先祖様を供養する「嵯峨の送り火」とも言われる大切な法会です。
法会が始まり大沢池の中ほどに設えられたお焚き上げの山に火が灯されると、みるみるお不動様の後背火焔のごとく大きな炎となり、荘厳な「嵯峨の送り火」が始まりました。ご献灯、灯籠流しなども風流で雅な、大覚寺大沢池宵弘法です。
HOME > 華務長の部屋
Profile
辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。
平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。
そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。
「宵弘法」は毎年、8月20日の夜18時から行われている、弘法大師様のご遺徳を偲ぶとともに除災招福を祈念し、ご先祖様を供養する「嵯峨の送り火」とも言われる大切な法会です。
法会が始まり大沢池の中ほどに設えられたお焚き上げの山に火が灯されると、みるみるお不動様の後背火焔のごとく大きな炎となり、荘厳な「嵯峨の送り火」が始まりました。ご献灯、灯籠流しなども風流で雅な、大覚寺大沢池宵弘法です。
7月28日。華道総司所において開催された「遊花一日 夏期大学」を担当致しました。
「遊花一日」の受講者は、初めての方からベテランの方まで様々なキャリアの方々が一堂に総司所に集い、その日のテーマに沿っていけばなの道に遊ぶ日、ととらえております。
今年のテーマは「日本をいける・夏」としました。デモンストレーションでは182名の受講生の皆様が熱帯植物の持つエネルギーを楽しんで頂けますよう、亜熱帯の植物を使い、「夏至南風(カーチバイ)・熱帯亜熱帯の風景」と題して、南大東島からわざわざ送っていただいた、憧れのアダンをいけて、沖縄の深山の景を表現し、日本の多様性と、亜熱帯植物の魅力をご紹介しました。
舞台中央の作品、田中一村の絵をイメージしながらいけた、沖縄の深山の景です。アダンの木のそばには、シオマネキ(蟹)を添えています。
舞台上向かって右側の作品、今井眞正作 顔の陶器に、糸芭蕉の葉と花、美人蕉を用いた生花。
舞台上向かって左側の作品、大覚寺什 籠製荘厳華器に、ヤシ・コウモリラン・チランジア・エケべリアを用いた荘厳華。
午後からの実技の花材は、ザミア・ソテツ・ヘリコニア・グズマニア・パイナップルです。いける花態は自由とし、イメージで表現した熱帯の風景や、生花、心粧華など皆それぞれに違う作品ができました。
舞台を一緒に支えてくださった4名の講師の先生方は、アダンのずっしり重い重さ、葉の棘(葉の両側面と裏に、鋭い棘がびっしり付いています)に閉口しながらも頑張って下さり、廊下の籐蔓を編んだオブジェを生かして花を添えて頂き、また蓮の葉と花に早朝から水揚げを施して下さいました。
見事に水揚げされた蓮をいける瞬間は、ありがたくて、また蓮の神々しさに感動しました。
「観蓮節」
観蓮節とは、奈良時代、中国の観蓮節にならった宮中の「蓮葉の宴」が始まりと言われています。大沢池の天神島や庭湖石を取り巻く様に一面に咲き乱れる蓮の花の美しさを愛でながら日本の風景の美しさに感謝すると同時に、守ることの大切さに思いを馳せていただきたく、平成19年から大覚寺大沢池の蓮「名古曽」を愛でる観蓮節を、遊花一日夏期大学に併せて毎年開催しています。
助手の先生方をはじめ、この日のために、沢山の方々のお力添えを頂けました事に感謝申し上げます。南大東島の宮城様のご好意、デモのみならず実技のザミア400枚・ソテツ200枚・グズマニア200本という大量の亜熱帯植物を仕入れて下さった花屋さん、舞台設営の大工さん、植物愛好家の方のお力添えと、温室からお借りした珍奇植物、大覚寺の蓮、総司所職員の皆様の献身的なお支え、などなど沢山のお力のおかげと、182名の受講生の皆様の熱意で、熱く日本の夏を謳歌できた一日となりました。本当にありがとうございました。
このたびの西日本を中心に発生いたしました豪雨によりお亡くなりになられました方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、被災された皆様にお見舞い申し上げるとともに、被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
祇園祭に京都いけばな協会が協賛して、八坂神社から四条通りを長刀鉾の辺りまで各流派のいけばなが展示されています。
嵯峨御流からは、垣花悦甫先生の作品が、四条花見小路北東角のよーじ屋さんに飾られていました。
書家の西野象山先生、玉龍先生、桃笠先生ご一家の書展を拝見するため、ご地元である養父郡八鹿へ伺いました。
桃笠先生のいけばなの師でいらっしゃる西村強甫華道芸術学院長とご一緒に、西野先生ファミリーとひとしきり書についてお話しを伺い、記念写真を撮ったり、幸せな時を過ごしました。
書展を後にして、西村先生が所属しておられる嵯峨御流但馬司所の研究会が同日開催されている事を知り、私のわがままで、但馬司所研究会を突然でしたが訪問させていただきました。研究生の皆様の目の輝きに、楽しさと熱心さが伝わってきて、大変嬉しいお出会いとなり、感謝の思いで一杯です。
また、八鹿から豊岡への移動の道中で、コウノトリが車の真上を大きな羽を広げて横切っていきビックリしました。羽を広げたコウノトリの大きさは、車の屋根ほどもあるのです!
豊岡では、絶滅した日本のコウノトリを保護し増やすため13年前から人工繁殖と放鳥に尽力されて、今100羽余りの野生コウノトリが日本のあちらこちらで確認されるようにまで増えたそうです。
コウノトリが頭上を舞う、とは滅多にない事なので、幸運の印ですねと言っていただいて、心から嬉しく幸せな気持ちになりました。
鶴に似た姿で、一生同じつがいが寄り添って暮らすコウノトリ、自然の命の尊さを花に託していけるいけばな、出石の水と大地が育む出石のお蕎麦、大自然からインスピレーションを感じて書かれた書、これらのものはすべて日本の風景の中で生まれた大切な宝物です。
「6月6日はいけばなの日」だということをご存知でしたか?
全関西のいけばな協会で連携して、芸道上達の吉日6月6日を「いけばなの日」と提唱しているのです。
神戸、京都など各地域の協会でもそれぞれ多彩な催しが開かれ、一般公開されていました。それらは大盛会だったと伺っていますが、残念ながら拝見できませんでした。
大阪府花道家協会では、JR大阪駅前のファッションモール「ブリーゼブリーゼ」1F・2Fの開放的なオープンスペースにおいて、10日までいけばな大阪特別展を開催されています。1つの作品は60cm、このサイズ感は皆様にも身近に感じられることと思います。
協会所属の55流派から、約140名余りの有志が前後期交代で、常時約70作品が展示されています。
老若男女さまざまな方が、花の前にじっと佇んで寛いだり、スマホで撮影したり、といろんな楽しみ方をなさっている様子を見ていると、みんな花を見て癒されておられるように感じて嬉しくなりました。花は人を明るく元気にしてくれる!事を実感します。
なお、お花に囲まれた一角では、8日から10日までの毎日、ライブ演奏(バイオリン、ハープ、チェロ、フルート、ギター)が行われます。
8日
①13:00-13:30 ②15:00-15:30
9日
①13:00-13:30 ②15:00-15:30 ③17:00-17:30
10日
①13:30-14:00 ②15:00-15:30 ③17:00-17:30
場所は、JR大阪駅から地下のガーデンアベニューという連絡通路で直結していて、(出口6-47)11:00から21:00まで自由に行き来できます(花展は、8日金曜日と10日日曜日だけは 生け替えのため19:00終了)ビルとビルの通勤路でもあり、平日は一日推定1万人の方が通行されている場所だそうです。
嬉しい事は、日常の中にある。
今朝、総司所へ遠方からわざわざ花器を買い求めに来られた方と偶然に出会いました。
地元の大きな花展に出品するため器を探しておられて、後々まで使える良いものをと考えた結果、わざわざ嵯峨まで足を運ばれたのです。
大きな包みを持って嬉しそうなお顔で帰途につくその方に出会い、私はとても嬉しくなりました。総司所の職員の方々が、一生懸命に探して来られた器や物品、また歴代研究所が生み出して来た物達が、人を笑顔にし愛されて行く事が嬉しく、迷いなく総司所へ来た、と仰ったその人の想いを聞けた事で私の心にも新たな勇気の火が灯りました。
喜びは日常の中にあって、人との出会いはその喜びをお互いの力に変えてくれます。
小原流盛花記念センターへ伺いました。
昭和37年に小原豊雲先生と建築家の清家清氏により約10年かけて構想を練って建てられた素晴らしい建築です。
歴代家元(流祖小原雲心先生、二世光雲先生、三世豊雲先生、四世夏樹先生)の復元作品と貴重な資料の数々、そして五世宏貴先生の、建築と一体になった作品。
写真撮影は許可されていましたが、私の拙い写真ではお伝えしきれない、胸に迫る建築と作品に接してまいりました。
この度の公開を以て、この建物に入らせて頂く機会は最後との事です。
未生流大阪の華展が、大阪市内念仏寺で開催され、拝見させていただきました。
お家元 新居哲甫先生の作品を掲載させていただきます。
平成30年5月21日、大正大学仏教学科で授業を担当させていただきました。毎年春学期・秋学期にゲスト講師としてお招きをうけて、今年で6年目になります。今回の登録受講生は30名です。
まず、自己紹介を兼ねて、大覚寺と嵯峨御流の歴史についてお話を致しました。
大覚寺は1200年の歴史があり、もと嵯峨天皇の御所だったところです。その御所で発祥したのが嵯峨御流で、当時はまだ嵯峨御流という名前ではありません。
後になって名前が誕生しました。日本の公的な記録の中では、類聚国史という書物の中に、嵯峨天皇がお花をいけられたという記録が残っております。
嵯峨御流は、密教的な思想体系をもった華道ですというようなお話をし、嵯峨御流の紹介の後、私の講義に移りました。
講演テーマは、「いけばなで命と自然の大切さを学ぶ」です。大覚寺大沢池が1200年前の姿を今もとどめている日本現存最古の庭園池であることや、その大沢池の風景を原点として、山から海までの風景を7つの特色ある水の流れに分け、それらの水が連続して流れることで風景が生まれるという発想が花態となっている、嵯峨御流「景色いけ」について、実演を交えて約1時間お話ししました。
嵯峨御流のすべての花態に曼荼羅の宇宙観が現れていますが、景色いけにおいては、命の根源である水の流れの連続性が風景を生み出すという発想で、山から海までの「七景」をつなぐと、一つの大景観が表現できるというところが、嵯峨御流の独自性です。景色いけが出来た昭和6年頃の日本の時代背景なども説明しながら「景色いけ・七景の水の取り方」の中から「深山の景」「沼沢の景」をデモンストレーションで紹介し、「いけばな」は生命感の表現であると説明しました。
最後に、荘厳華を「そわか」を用いていけました。密教の六大思想というものが反映された花型である荘厳華は、それぞれの役枝に六大を形にして表現しています。
曼荼羅の宇宙観である六大無礙の思想を、森羅万象の「地・水・火・風・空」の5つの役枝と、精神性を表す「識」の6つの要素の調和美で表現すると説明して、授業は終了しました。
皆さん、とても熱心に聞いてくださり、本当に嬉しく思いました。
本日の授業は、派遣講師の石田啓甫先生に助手をしていただきました。基礎ゼミナール担当教授の米澤嘉康先生、助手の池田そのみさんも授業を見守っていてくださいました。
秋学期は、荘厳華「そわか」の実技をする予定ですので、いまからとても楽しみにしています。