いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

1月2日。京都駅でジャパンスピリッツ31流派の作品を拝見しました。

https://www.sagagoryu.gr.jp/post_id_20543/

1月2日。京都駅でジャパンスピリッツ31流派の作品を拝見しました。1月5日まで、京都駅2階の改札前からホテルグランヴィア京都前のタクシー乗り場前広場にかけて、屋外に展示されています。華やかで力強い、いけばな作品に込められたメッセージを感じることができます。ぜひご高覧を!写真は、嵯峨御流垣花悦甫先生の作品です。

うめだ阪急 コンコースウィンドー迎春花2021

12月27日から1月13日までうめだ阪急コンコースウィンドー迎春花2021が展示されています。
JR大阪駅、阪急阪神梅田へお越しの際には、ぜひご覧くださいませ。
嵯峨御流100名が力を合わせて、26日の夜にいけこみをしました。
今回は、難敵に打ち勝つ未来へのメッセージを、いけばな作品で表現しました 。

 

1号
『一陽来福( いちようらいふく) 』
迎春花に込めた想いは、人々が一つになる世界の実現のために」新しい日常の中で迎える令和三年のお正月は、暮らしを考え直すきっかけになれば、との想いから見ているだけで元気になれる黄色の壁に、床の間の原点である押板を設えました。太陽が昇ると素直にうれしく、福がやってくる兆しを感じます。改めて自然の大切さを気づき、お互いに感謝の気持ちをもって一つになってほしい、という願いを込めて、“悪いことが続いた後には幸運が開ける”という意味の一陽来復(いちようらいふく)をもじって『一陽来福 』 を表現しています。
花材のオモトは、株が大きいことから「大本(おおもと)」の意味を込めてオモトといわれ、また、葉が常緑でいつも青いことから「万年青」と名付けられています。常緑なので長寿をあらわし、深紅の実が子孫繁栄をあらわすことから、松竹梅とともに祝儀花の一つとされています。
この生け方は、嵯峨御流に伝わる祝儀花「万年青 七五三(しめ)の伝(でん)」です。
向かって右に七枚を縦姿、左に五枚を横姿、両方の株をつなぐ足元に三枚をいけて、全体として「天・地・人」の姿を構成しています。
壁一面を彩るのは、まばゆいばかりの黄色、すなわち陽(よう)の色です。何もない広々とした余白の空間が余分なものを覆い隠し、テーマを浮かび上がらせているのです 。

掛軸 紅唐紙 「四海波平龍眠穏」 尋牛斎宗也
花器 銘「泰鳳」菊花御紋・鳳凰蒔絵 八角足付(天皇陛下御即位・新元号令和改元記念として好む)
花 万年青「大象観」
敷板 螺鈿

 

2号
『御題「 実 」』未来の人々に夢を託す思いを込めて

天皇がお催しになる歌会を「歌御会」 といいます 。
現在は皇族だけでなく広く国民からも和歌を募り、毎年一月に歌会始が行われています。大覚寺が皇室と深い関わりを持つため、いけばな嵯峨御流では歌会始の御題にちなんだ「 御題花 」を毎年謹挿しています。
令和三年の御題は「実」で、その旧字「 實 」にある貫は 、紐で綴り合わせた財宝を示し、豊かな供え物が満ちているという意味になります 。転じて、充実していることを示し 、植物の実りの意味になりました 。この作品では南天と、命の根 が語源の稲を実りの象徴として、未来の人々に実(夢)を託す想いを込めています。南天は「難を転ずる」とも、また成就に通じる「成天」とも呼ばれお祝いの席にふさわしい植物です。

 

3号
『高砂』安寧に過ごせる時の実現を目指して

能楽「 高砂 」は 雌雄の老松の精が相生の老夫婦の姿で砂浜に現れます。相生とは、相ともに生まれ老いるまで 、の意味で夫婦の和合や、国家の繁栄を寿ぐことがこの楽曲のテーマとなっています。「千秋楽は民を撫で、万歳楽には命を延ぶ相生の松風 颯々の声ぞ楽しむ」という言葉で結ばれることから、大切な人とともに、安寧な時を過ごせますように 、という想いを込めています。

主な花材
赤松 黒松 福寿草

 

4号
「『辛丑好文』努力を続ける人々に感謝して」

干支とは十干十二支の組合せであり、令和三年の干支は 辛丑 。そこから発想し、幸せを運ぶ 「赤べこ」と、牛にゆかりが深い菅原道真公がこよなく愛した梅を華やかに取り合わせました。梅の別称「好文」は、晋の武帝の「学に親しめば梅開き、疎かにすると梅開かず」という中国の故事に由来します。努力を続ける人に感謝の気持ちを込めています。

主な花材
梅 柳 サボテン シンビジウム 葉ボタン

 

5号
『鶴亀』永遠の時を願う人々のために

鶴は千年、 亀は万年の長寿と云われ 、二つの長寿のシンボルを大きな円の形におさめ、新しい年のはじまりを知らせる日の出をイメージしました。鶴と亀は古来より、 良き事を寿ぐときに用いられる吉祥文様にも使用され 、夫婦円満や金運上昇の縁起ものとしても知られています。これからも末永く、 平穏な世界が続いてほしい、そのような想いを込めています。

主な花材
鶴:ツゲ ソテツ オーガスタの葉 ビロウヤシ       
亀:ビカクシダ ハラン

 

6号
『慈光』輝く献身者への感謝を込めて

医療従事者をはじめ、献身的に働く人たちへの感謝を込めて、薬師如来の姿と力を荘厳華で表現したいと思いました。薬師如来が手に持たれる薬壺にも、医薬の仏としての特徴が表れています。薬師如来が司る瑠璃光の色を背景に、その体から放たれた輝く光を海松などで表現しています。

主な花材
南方竹の根 落羽松の気根 ユッカ タビビトノキの花 胡蝶蘭 海松 チャボヒバ

 

7号
『兆』輝く未来の実現への願いを込めて
いけばな嵯峨御流ゆかりの大覚寺にある大沢池。
その池に浮かぶ舟の船首には「龍頭鷁首」 が飾られています 。龍は水の上でも思い通りに進むことができ 、
鷁 は海上を吹く風にも負けないという伝説から、水上の安泰を願って備えられています 。これらの伝説の霊獣は、瑞祥すなわちめでたきことの象徴として扱われています。優雅に池を行きかう舟に見立てた花器には品格ある植物をいけることが伝承されています。人の心の持ちようで、幸多い輝く未来は実現できることを信じて。

主な花材
寿松 カトレア

コロナに負けるな!医療従事者への感謝を込めて、青い花をいけます!!

医療現場が逼迫する中、懸命な努力を続けてくださっている医療従事者の方へ、青い花や 青い花器を用いてお花をいけ、感謝の気持ちを表す
#いけばなリレー
に、私も投稿しました。

皆様も年末年始、ご自宅で過ごされる間に、Instagramに青いいけばな作品写真を載せ、末尾に次の言葉をコピー&ペーストして是非投稿してください。

#医療従事者に感謝

#青い花をいけよう
#嵯峨御流
#いけばなリレー

 
 
 
 
 
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2020年12月17日 大覚寺 雪の朝

この写真は、大覚寺の朝の勤行が終わった7:00過ぎ頃の風景です。京都では珍しい雪景色を、参籠されていた華道の先生が撮影されたものです。そのお写真があまりに美しいのでブログで皆様にもご紹介させていただいた次第です。

さて、大覚寺に、御遠方からいけばなの授業に参加される方、またご紹介者があればお寺の宿坊に参籠することができます。
参籠された方は毎朝6:30から心経前殿でおこなわれる朝のお勤めに参加されることになっています。おわると、まだ誰も足を踏み入れていない中庭やお堂の厳かな雰囲気を、独り占めできるのです。朝の大沢池、格別の景色ですね!

 

月刊嵯峨 「美に迫る」の取材

月刊嵯峨、今年度の特集は、総司所大覚寺に講座の受講などで来られた皆様が、少し足を伸ばせば見られる場所にある美術館をわたくしがご紹介させて頂いてきました。
12月に、2月号、3月号の取材を終えて目出たく千秋楽という気分でもあります。でも、まだまだお勧めしたい場所は沢山あり、美術館に限らず素敵な庭園や風景、またそこへ行くまでの道のりの楽しさなど、嵯峨に関連ある美をテーマにすれば本当に沢山の場所が思いつき話題が尽きません。

この写真はどこで撮ったか、まだナイショですが、載せておきます。

良いお年をお迎えくださいませ。

月刊「嵯峨」12月の花

12月号は、エネルギーが湧く色「赤」を主題にいけました。
令和2年も、あと半月ほどとなりました。無事、とは言えなくとも、とにかく新しい年を迎えられることに、まずは感謝、感謝です。
来年を良き年にするため、お互いに相手を思いあって行動していきましょう!

年末12月27日から1月13日まで、うめだ阪急コンコースウィンドウにいける迎春花には、一陽来復の思いを込め、明るい兆しを感じていただけるようないけばな作品を、嵯峨御流華道家が力を合わせて制作します。お見守り頂けましたら幸いです。

12月11日祇王寺。

夥しい散り紅葉に覆われていた苔庭の、落葉を取り除く日。大勢の職員さんが楓の落葉を丁寧に剥がしていかれます。下から現れた苔は、しっとりと瑞々しいまるでパックを終えた素肌のように潤って輝いていました。

阪急うめだコンコースウィンドウ クリスマス ディスプレイ

うめだ阪急コンコースウィンドウの、クリスマスディスプレイが12月25日まで展示されています。4mの高さから糸で吊られて動く、あやつり人形です。今年はくるみ割り人形がテーマで、一つのストーリーが7面に渡ってページを開くように次々とお話しが展開して行きます。
そして、12月27日からは、いよいよ嵯峨御流の迎春花が令和3年1月13日までこのウィンドゥ7面を飾ります。お近くへお立ちよりの際には、ぜひご覧下さいませ。

京都御所 秋の一般公開に嵯峨御流が挿花しています。

『京都御所 宮廷文化の紹介』令和2年秋」。明日11月19日から23日まで一般公開されます。

秋晴れのもと18日に京都司所の皆様と一緒にいけこみをしました。
この秋、皇室では秋篠宮殿下の立皇嗣の礼が執り行われ、その御慶事を寿いで、桐や松、鳳凰に見立てたストレリチア、菊などを取り合わせました。嵯峨御流の作品は、紫宸殿南庭 東回廊に飾られています。

主な花材
蛇目松、桐、ナナカマド、チャボヒバ、ストレリチア、菊


https://www.kunaicho.go.jp/event/kyotogosho/kyotogosho.html

11月8日の大覚寺嵯峨菊の写真です。

11月8日は、嵯峨御流の土日専修会及び日曜専修会の授業日でした。ご遠方からの方にはお寺に参籠ができる仕組みになっています。土曜からお泊まりの受講生のかたから「日曜の朝のお勤めに初めて参加させていただき、清々しい雰囲気に感動しました」とのお声や「土日クラスができたので、遠方からですが総司所へ来ることができました」とのお声をきいて職員の方々ともども、とても嬉しく思いました。総司所で味わうことのできるお寺の美しい雰囲気は、かけがえのないものだとわたくしも常に思っていますので。

従来から行われている平日の専修会及び研究科、及びこの土日クラス新設に関しては職員の方々が一生懸命に尽くしてくださっていますので、こうしたお声はひとしおです。

さて、8日日曜日の境内では、各宮家にも毎年献上されている大覚寺嵯峨菊が1数百鉢も境内に飾られていました。
宸殿前の右近の橘左近の梅や、勅使門を背景に回廊で繋がれているお堂を巡ると丁度良い高さに仕立てられているのが、大覚寺嵯峨菊の特徴です。寄せ植えの姿にも、花の備え方にも品格ある姿に深く心を打たれます。

種類は何種類あると思われますか?またそのお名前はどのように定められましたでしょうか?
これを確かめに、ぜひお運びくださいませ。
11月30日まで展示されています。

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