いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

9月のいけばな

サイズ変更1509_P1新朝夕、虫の音が響き、秋らしくなってまいりました。9月の月刊嵯峨に掲載した作品は、文人盛です。早秋の実りの数々を、大振りの手付き籠に盛ってみました。熱帯ア
ジア原産の「くわずいも」は、食べられないお芋です。古い伝説に、弘法大師が修行で空腹に苦しんでいたとき、農夫に山芋を下さいと頼んだが、焼いた里芋を農夫が「食えない芋」と偽って、弘法大師に差し出さなかった。その芋は本当に食べられない「くわずいも」となって野生化したと言われています。このようないわれのある「くわずいも」ですが、お芋に見える部分は茎で、アロカシアの一種、成長が早く存在感のあるお芋の部分とみずみずしい葉は、いけばな花材としてとても魅力的な植物です。花屋さんでは、成長が早いくわずいもは、「出世芋」と呼んで開店祝いや事務所開きのプレゼントとして縁起物にされているとか。

 

 

月刊嵯峨9月号の門跡猊下のお言葉は「忘己利他(もうこ りた)」門跡猊下のご法話は次のとおりです。

「『忘己利他』これはわが国の天台宗の開祖である伝教大師最澄の言葉です。私たちには、他人のために何かをしてあげたい、困っている人に救いの手を差し伸べたいという気持ちがあり、それが利他行です。しかし、私たちが利他行をしても、相手がそれに感謝してくれないと失望し、時には相手に腹を立てたりします。親切にしたがた
めに相手を憎む羽目になってしまうことがよくあります。

最澄は、布施をするには、『三輪清浄の布施』でなければならないといっています。三輪とは布施を構成する三つの要素で、第一に施者の心が清浄であること、第二は受者の気持ちで、布施を受ける人がこだわりのない気持ちでいること。第三は施物で、布施で施す物が清浄であることを指します。この三輪の中で最も大事なことは、施者
の心なのです。無我の心で施しをすべきで、それが『己を忘れる』ことだと言っているのです。己を忘れたとき、相手に対して清浄な布施ができるのであり、それこそが慈悲なのです。」

花材 くわずいも 仏桑花(ハイビスカス) 鹿ケ谷南瓜 南瓜 茄子 瓜 ズッキーニ 獅子唐

いけばな新進作家展(後期)

8月27日から、9月1日まで開催された、いけばな新進作家展の後期の嵯峨御流作品を掲載させていただきます。

場所は大阪心斎橋大丸本館7階会場。主催は産経新聞社。

 
サイズ変更眞鍋直甫

眞鍋直甫

 
青野直甫

青野直甫

 
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小田ひさ甫

 
サイズ変更岩崎美恵甫

岩崎美恵甫

 
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河合澄甫

 
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井川佳甫

 
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 右から、出瓶者の眞鍋直甫先生・小田ひさ甫 先生・河合澄甫先生・岩崎美恵甫先生・青野直甫先生・辻井・見に来て下さった水谷幸甫先生・伊東美知甫先生

 
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右から、いけばな新進作家展を主催する、産経新聞大阪本社事業部 板垣利治氏。同じく元事業部(現 営業部次長)熊田昌弘氏。いけばな展では、産経新聞社に大変お世話になっています。

 

8月30日、北陸地区連絡協議会いけばな公開講座において、講演とデモンストレーションを行いました

嵯峨御流北陸地区主催のいけばな公開講座「華やかな平安文化の薫りをいける」サブテーマ~生活を彩るいけばな~が石川県女性センターで開催され、講師として、本田博甫理事と共に出向しました。

地区の4司所(北陸司所 富山司所 能登司所 富山春陽司所)から大勢の方々が参加され、とても盛会でした。

前半は、講演「いけばなで美しい地球を守る」。いけばなとは、「自然と共に手をつなぎ自然をわが心のものにしたいという、その必然的欲求」から生まれた、日本独特の文化だと話し、いけばなを家の中に自然美しい風景をいけて、人の心に自然をいとおしむ気持ちを育むことが、環境を保全する気持ちにつながるというお話をしました。

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続くデモンストレーションは、「十二律管」、「御所車」、「文人華」「懸花」2作。

金沢市内にある金子生花店のご尽力で、様々な花材を集めていただきました。その中でも、「御所車」に使った楓は少し紅葉しているように見えるもので、赤いナナカマドとの取り合わせが、はんなりして雅な雰囲気でした。

「御所車」とは宮廷乗用の牛車のことですが、この車の屋形部分を取り去り、勾欄で囲い、その中央に大籠を置き据えた花車を御所花車と呼びます。嵯峨御流では、嵯峨天皇の御所にちなんで、この御所花車を「御所車」と称し、格調高い花をいけることになっています。

「十二律管」は楓二種とユリ。

「文人華『緑天蕉雨』」芭蕉。オンシジウムと白孔雀羽根を添えて。

「懸花」は、青竹五重切に季節の花々を瓶花調にいけたもの。上から、つるうめもどき・りんどう・紫陽花の葉。2番目、姫ひまわり。3番目、檜扇。4番目、べんけいそう。5番目、紅葉した楓・鶏頭。

「茱萸嚢(しゅゆのう)」は、中国の故事に随い、平安時代から重陽の節句に飾られた、長寿と共に邪気を祓い災厄を除く飾り物。その茱萸嚢を見立てて、菊と榊をいけたもの。

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前日の下いけからずっと関わって下さった先生方のお力添えにより、大きな作品もチームワークの力で時間内に仕上がりました。地区の先生方に感謝申し上げます!

 

 
2015年8月31日 北陸新聞

この公開講座の記事が、8月31日の北國新聞に掲載されました。

いけばな新進作家展

8月27日から、9月1日まで、前後期に分けて、いけばな新進作家展が大阪心斎橋大丸本館7階で開催されています。前期の嵯峨御流の作品を掲載させていただきます。

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右から、辻井・出瓶者の高砂由利甫先生・鷲尾のり子先生・後期出瓶の青野直甫先生・見にきてくださった立川紗智甫先生

 
 
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高砂由利甫

 
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田中由美甫

 
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岸田節甫

 
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鷲尾のり子

 
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藤岡ひろみ甫

 
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西村美代甫

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JICA研修

8月21日、世界の湿地管理や生態保護に取り組んでおられる8カ国から8名の方々が、日本の環境保護について学ぶ研修にこられ、 風景をいけるいけばな「景色いけの」のデモンストレーションとワークショップを、自宅で開催致しました。

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嵯峨御流東中国地区連絡協議会 いけばな公開講座

平成27年8月23日(日)、東中国地区連絡協議会主催「いけばな公開講座 『 華やかな平安文化の薫りをいける』」が、岡山市 山陽新聞社本社ビル「さん太ホール」で開催されました。サブテーマは『嵯峨・はな・こころ』。東中国地区の7司所(岡山司所 津山司所 美作司所 鶴山司所 新見司所 備中司所 備前司所)からお集まりの受講生でホールは満席でした。地区連絡協議会運営委員長 角南良甫先生のご挨拶に続き、講師紹介(西村強甫学院長と私)があり、講演「いけばなで美しい地球を守る」、デモンストレーションへと進行しました。

 

 
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迎え花として、地区の役員の方がいけられた作品

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いけばなデモンストレーションは3作品。最初は大覚寺大沢池の雰囲気を、葦、蓮、睡蓮、布袋葵などを用い「沼沢の景」で表現しました。続いて、「十二律管」は馬酔木とユリ。最後の「荘厳華」大作は、パンパス・椿・南天・ヤツデ・紫陽花・アンスリウム・胡蝶蘭。荘厳華の為に用意してくださった椿は、大きな木でしたので、舞台上で役枝の部分を枝どりしながら、いけていきました。

 

 

 

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厳しい暑さの中で、花材をいきいきと保つには相当の苦労が要ることですが、役員の先生方のご尽力により、美しい花材を使わせて頂きました。地区の活力に満ち溢れた先生方と接する機会をいただき、私自身の心にも燃えるものがありました。

 

嵯峨御流のいけばなが伝える、命の大切さと世界平和の願い、そして人々にしあわせを広げること。このテーマを持って、宝物が一杯詰まった嵯峨御流のお花を、これからもより多くの方々に知って頂くため、皆様と一緒に前進してまいりたいと思います。

 

 

 

 

大沢池天神島の御神木

お盆休みが明けて、華道総司所は17日から再開しました。皆様もお変わりございませんでしたか?

私は今週から来週にかけての行事の準備もあり、ずっと自宅で過ごしていました。

8月23日は東中国地区連絡協議会のいけばな公開講座、8月30日は北陸地区連絡協議会のいけばな公開講座、

その前に、8月20日は我が家へJICA研修員が世界8か国から8名来られて、いけばなとお茶のワークショップを行います。これらのご報告はまた後日にさせていただきます。

 

 

ところで、8月上旬に、「総司所だより」の表紙撮影の為、大沢池の天神島へ行った時のことです。

御神木である楠の巨木の大きな枝が、落下していました。早朝ゆえ、毎日見回りしておられるお寺の方はまだ誰も気が付かず、第一発見者は月刊嵯峨の撮影もして下さっているカメラマンさんでした。

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これは6月18日に私が撮った同じ木の写真です、向かって右側の支柱に支えられている大きな枝が今回落ちたものです。 左側は天神様の祠の灯篭。

 

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この御神木は、大沢池の天神島のシンボル。

 

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大沢池を南西側から北東方向をのぞむ写真 6月18日撮影。

天神島は、御神木の姿によって遙か遠くからでも一目でわかります。

 

庭湖の景 伝書の絵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嵯峨御流中伝 桐の巻より

 

嵯峨御流盛花発祥の大沢池。

大沢の池は、1200年以上前の姿をとどめる、日本現存最古の林泉。この風景も、大切な御神木も、人の手で大切に守られながら、嵯峨天皇と空海の嵯峨御流の思想を後世に伝えていきます。人と自然の係わり合いの結果として保たれていく大切な風景、その風景のいけかたが花態となっているのが嵯峨御流盛花「景色いけ七景三勝」の花型です。嵯峨御流独自の「景色いけ」は、風景を、自然界の中の連続した水の流れによって生まれるものととらえ、その原点である大沢池(庭湖)は1200年姿を変えず存在しています。「景色いけ」は守りたい風景や取り戻したい心象風景を、いけばなの型により後世に残し伝える事ができるものです。私たち華道家は、人々の誇りや想いのこもった風景を大切に残していくためにも、いけばなで美しい風景をいけて共感を広げていくことで、自然に関心を持ち環境を守る意識を、人々に広める一助となりうるのではないでしょうか。

 

 

 

大覚寺宮墓地 お盆供養

8月7日(金)

大覚寺宮墓地は、大覚寺の北方にある陵墓です。旧嵯峨御所大覚寺に関わられた後水尾天皇の皇子性真親王をはじめとした皇子皇女のお墓が祀られています。

後二條天皇皇孫 弘覚王墓 

後二條天皇皇孫 深守親王墓

後亀山天皇皇子 寛尊親王墓 

後伏見天皇皇曾孫 寛教親王墓  

後宇多天皇皇子 性勝親王墓

正親町天皇皇孫 空性親王墓

後陽成天皇皇子 尊性親王墓

霊元天皇皇子 性応親王墓

後水尾天皇皇子 性真親王墓

今日8月7日、大覚寺宮墓地に隣接する一般墓地にお墓がある方々に対して、お盆供養の法要が大覚寺内 五大堂で行われました。法要に先立って、教務部寶山僧正様が、お盆に関する様々なお話をなさいました。

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お盆=盂蘭盆、語源はウランバナ(直訳すれば 逆さ吊り という恐ろしい意味になる)。釈迦十大弟子の目蓮は自分の亡き母親が天界で幸せに暮らしているかどうかを自分の神通力を発揮してのぞいてみたところ、餓鬼道地獄で逆さ吊りになっていたことが見えた。その事を目連が釈迦に相談し、釈迦は「夏の夏安居(げあんご)(※インドでは夏は雨期となる。夏安居は僧侶が室内にこもって修行すること)が終わったあと、すべての僧侶とすべての御霊に施しをすればよい」と教えられそのとおりにした。すべての御霊に食べものを施すことを施餓鬼といい、これがお盆の行事の始まりでるとのこと。日本では、奈良時代に伝来した仏教の盂蘭盆と、もともとあった神道の中元祭(先祖供養の行事)が合体して旧暦7月15日(地域によっては8月15日)日本のお盆の行事になったということです。

最後に、ご先祖様は、自分から20代前にさかのぼれば100万人にもなる、というお話を聞きました。

法要が終わり、五大堂から外へ出ると猛暑・大沢池の蓮花の涼やかな姿が救いです。

放生池の北側には夏に花咲く「土用藤」も咲いています。

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お盆休みは、猛暑になりそうですね、世界的に今までにない厳しい暑さとなりそうです。

京都新聞によると、イラクでは気温が50度を突破し、パキスタンでは熱波による死者が千人、インドでは2千人を超えたそうです。
オーストリアでは記録上、過去約250年で「最も暑い7月」と認定され、また、イタリアやドイツのアルプスの山々では、氷河が異常な速さで解けているとか。皆様どうかお気をつけてください。

16日まで華道総司所はお盆休みに入り、このブログも16日まではお休みとなります。また17日からブログ再開致します。

 

JR嵯峨嵐山駅のいけばな

嵯峨駅1JR嵯峨嵐山駅改札を入ったところに、嵯峨御流のお花が生けられています。いつもは、京都嵯峨芸術大学の学生がいけばなの授業で生けた花を展示しているのですが、今は夏休み中ですので、9月23日まで講師の先生方が交代で生けてくださっています。
この写真は、講師の先生が生けられたドラセナ・リンドウ・アンスリウムetcです。

9月の授業が始まれば、学生が毎週交代で、JR嵯峨嵐山駅と、サンサ右京(右京区総合庁舎)内の1階コンシェルジュカウンターと、3階右京区中央図書館にも授業で習った嵯峨御流のいけばなを展示します。

 

5cmの葦牙(あしかび)

サイズ変更IMG_8755-17月25日の遊花一日夏期大学でのデモンストレーションの為に、採取して下さった葦。

酷暑の中を、材料集めの為に川辺まで足を運んで下さった方のご苦労を思いながら、有難くいけました。

『古事記』の冒頭 創生の神々を述べたくだりに、早春の湿地に生える葦牙を崇めて「宇摩志阿斯訶比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)」と記されています。「うまし」は「美し国(うましくに)」などというように、良いものという意味。「あし」は葦。「かび」はカビと同じ語源で、醗酵するとか、芽吹くものという意味。すなわち、「あしかび」は「葦の芽」のことになります。葦の芽吹く力強さから、生命力を神格化し活力を司る神として、男性の神の呼称「ひこぢ」が付された神の名前です。

創生に現れる五柱の神のうち、実体をそなえているのは この葦の神だけなのです。

楽屋にストックされていた、手のひらに載るほど小さ葦牙を、我が家へお連れ致しました。

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