平成27年11月21日、この日拝見した2つの華展をご紹介します。
快晴のさわやかな連休の始まりです。この日拝見に伺った華展を2つご紹介します。
大阪の9流派の合同華展「第63回祥華会いけばな展」が大阪美術倶楽部で開催されました。花材は、自ら足を運んで見つけられたものも多く、市場では得られない面白い自然の枝振りを生かした作品にも出会わせていただきました。
次に、ご紹介するのは、70年以上嵯峨御流のいけばなに携わられた高橋二三甫先生の、自称「ミニ華展」。84才を迎えられ、益々お元気です。ハランや水仙の凛とした生花、また様々な思い出の詰まった器をいかされた楽しい作品など。
その中に、父方の祖父辻井弘洲の書いた扇や、母方の祖父大覚寺門跡乃村龍澄の墨跡を飾っていただいていて、大変嬉しく思いました。いけばなの道を探求される高橋先生のお姿やお言葉には、厳しさと優しさ、道を極めた方の筋の通った人生をも感じさせていただいたひとときでした。
平成27年11月16日(月)、大正大学仏教学部 仏教学科において、基礎ゼミナールの授業の一環として、華道の授業を担当させていただきまし た。今年で3年目になります。本年春学期は、6月1日に小山典勇先生のクラスでお話しとデモンストレーションを見て頂き、
今回は秋学期・長島潤道先生ご担当の30名のクラスで、立て花形式の「荘厳華」の実技を致しました。
「荘厳華」は真言密教の秘教に基盤をおいた真の格のいけばなで、一輪 一果 一葉すべてに宇宙の真理が表された花態です。仏前に供する花として誕 生した立花(たてはな)の様式であり、花枝の足元が水際から直立に立つ姿になります。荘厳華の構成は、地・水・火・風・空・識の<六大>を基と し、この六大をそれぞれの枝に振り当てた構成で、しかもそれは個々のものではなく、六大なくして地大なく、地大なくして六大はないという渾然一体 の関係にあります。
いける時は、六大それぞれの性質を踏まえた姿になるよう植物を見立てて選び、あるいはふさわしい姿になるよう撓(た)めて挿 し、いけ上がった花は一つの調和ある姿になるようまとめていきます。色彩的・構成的にも重厚多彩な花で、神事・仏事・婚礼・宴席など、荘重な場を 飾る花として、観る人の心が浄化されるような、荘厳な雰囲気に仕上がります。今回は、嵯峨御流独自の「そわか」という花器と花留めを使っての実技 で、この「そわか」の名前は”願いが叶う”という意味で般若心経の中にある言葉です。
学生さんたちは、ほとんど全員がいけばなは初めて。でも大変熱心に取り組まれて、花鋏の使い方もだんだん慣れてこられ、わずか1時間半の授業の中でしたが、みなさんほぼ完成致しました。
いけばなを体験されて、毎日の生活の中に生きた花があることの楽しさと喜びを感じて頂ければ嬉しいです。私とあと2人の華道講師も、学生さんの活気と熱意を感じ、様々な感想や歓声を聞きながら、とても意義深い授業となりましたこと、嬉しく思っております。
今月号に門跡猊下がお選びになられた言葉は、『月白風清』。この句の出典は、蘇軾の『後赤壁』の一節で、秋の月夜の風情を詠まれたもの。
今月号に門跡猊下がお選びになられた言葉は、『月白風清』。この句の出典は、蘇軾の『後赤壁』の一節で、秋の月夜の風情を詠まれたもの。
蘇軾は、三国の英雄を思い、それに対して流人である自分自身の身の上を嘆きつつも、8月のある日、明月と清風とを楽しむためにやってきた赤壁で船を浮かべ楽しまれた。そして、その3か月後、再度この地を訪れたとき、名月の頃とは違った険しい表情を見せる赤壁の風景と小さな月を見て、以前見た素晴らしい情景を懐古の想いで詩文にしたのが後赤壁の賦のこの部分だと言われています。
私のいけばなは、赤壁に遊ぶ蘇軾(蘇東坡)の姿を連想したもの。舟に乗り、風に吹かれるまま袂を靡かせて、自分が風になってしまうかのごとき境地に立つ姿を想い入れて。
嵯峨御流の月刊誌「嵯峨」の巻頭に、毎月門跡猊下のお言葉が掲載されます。そして、そのお言葉を受けて 私のいけばな作品をいけています。平成27年10月号のお言葉は、『心清百事佳』です。
門跡様は、「心清らかになることで、すべての出来事が自然とよくなっていくのです。」とお話しされています。この言葉を伺って、私は亡くなった師から常々「家に花をいけるときは、見て心豊かになれる花をいけよ」といわれていた言葉を思い浮かべました。師は「お手本は自然の中にある、良く見よ」とも。毎日の暮らしのなかで、自然を慈しむ心を養うためにも、一輪の花を丁寧にいける気持ちを大切にしたいと思います。
花材 ダリア 着色枝垂れ桑
花器 変型花器 小山有子作
平成27年11月16日 未生流(庵家)の華展を拝見しました
未生流(庵家)のいけばな展「おうちに花を飾ろう」が西宮北口ハウジングセンターで開催され、11月16日に拝見に伺いました。
16件のモデルハウスに、前後期に分かれ150名ほどの先生方がいけられたお花を拝見して、いけばなは生活に潤いと喜びをもたらすもの、本来場に合わせ趣向に合わせるもの、その原点を現代風に提案なさった華展だと思いました。写真の作品は、先代家元佐伯鵬甫先生と、第10代当代家元佐伯一甫先生。古典花のきりりとした姿は、モダンな和室を格調高い雰囲気にし、部屋の格がぐっと上がる感じがいたしました。
京の教育「みやび」講座が大覚寺で開催され、華道を研修されました
京都府総合教育センターが主催される本講座は、京都府立の公立学校全教職員の対象の研修会です。講座のねらいは、<文化施設等の体験及び鑑賞と体験を通し、京都の歴史・伝統・文化への認識を深め、伝統や文化に関する学習等につなぐ視点について学ぶ>というもの。
平成27年11月6日(金)13時から17時まで、華道総司所において、「京の教育『みやび』講座」が開催されました。
京都府全域から70名の教職員の先生方が華道についての講義といけばな体験を受けるため 大覚寺へお見えになり、まず、大覚寺黒田知正総務部長様からのご挨拶の後、私が講演「いけばなで環境を守る」をさせていただき、続いて嵯峨御流のいけばな「盛花」を体験していただきました。
実技は、嵯峨御流の小滝悦甫主任教授・槇 信甫教授・伊東美知甫教授と私の4名で担当致しました。一日の講習が終わるまで、教職員の先生方の集中力は途切れることなく、その熱意に敬服いたしました。
そして、先生方が自ら体験されたことを基に、教育の場において文化体験を取り入れていただき、いけばな体験を通して、日本の風土について考える機会を、多くの子供達に広げ
て頂きたいと 心から思いました。
平成27年11月8日(日)、兵庫南地区連絡協議会主催「いけばな公開講座 『 華やかな平安文化の薫りをいける』」が、神戸市 兵庫県民会館で開催されました。
テーマは『華やかな平安文化の薫りをいける』。兵庫南地区の7司所(みなと司所 伊丹司所 神都司所 神戸山手司所 姫路司所 淡路司所 山陽司所 )から260名余りの受講生が参加して下さいました。地区連絡協議会 運営委員長 村上巨樹先生のご挨拶に続いて、私の講演「いけばなで美しい地球を守る」、デモンストレーションは、光岡道寛理事と私が務めました。
デモンストレーションは 3作品、はじめは、「花衣桁」です。
花衣桁は着物などの衣服をかける 衣桁をもとにして、生花を飾れるように創意工夫を凝らしたもの、元は東山義政公の御好造られたものといわれています。解説を交えながら、花を4点、飾り物を合わせて合計7つの飾りとなるようにいけました。花材は、五葉松・つるうめもどき・椿・カトレヤ・水仙。
次に、「高雄の景」、景色いけの三勝の景の一つです。京都愛宕山に連なる三尾の一つで、神護寺のある紅葉の名所として知られるこの風景は、楓 を用いて清滝川の急流に挟んで広がる峡谷を表現します。
最後に、青竹の七管筒を用いて、見事に紅葉した楓を、心粧華にいけました。
閉会の辞は地区の副運営委員長 加野華峰先生から。
いずれの作品も、光岡理事をはじめ、お手伝い下さる地区の先生方との心が合った連携プレーで、限られた時間にもかかわらずスムーズにいけることが できました。
そして、受講者の皆様からの反応も、とても嬉しく思いました。皆様に心から感謝申し上げます。
毎年秋の日曜日に、伊勢神宮で嵯峨御流中部地区連絡協議会8司所のご奉仕により、献華式が執り行われています。 11月1日、今年は上野司所と愛知岡崎司 所が献華式を担当され、私も初めてこの献華式に出仕させていただきました。
能舞台に於いて、神様にささげる厳かな献花の儀では、美しい所作の中でいけられた清々しい一対の若松に、中部地区の120名の先生方の祈りの 心が一つと なるのを感じました。 次に、能舞台から内宮神楽殿まで、120名の進列が境 内の玉砂利の道を歩きます、進列の先頭は荒木義典僧正様、続いて華務長、相談役来田仙甫 先生、師範 代表、献華者、献華従者、献華侍者、参列者(中部地 区の先生方)と続きます。 古代を想わせるような神宮杉に囲まれ、清々しい気 が立ち込めた境内は、大勢の人で込み合っていました。 この日は「朔日参り」の日、伊勢では古くから毎月1日の早朝に神宮を参拝する 慣わしがあるそうです。 そして、その大勢の人々の中を、神職の方に先導されて列が進みますと、やがて 内宮神楽殿に到着します。御神楽で若松一対を捧げ大々神楽の奉奏 がありました。 大々神楽の奉奏が終わると、内宮参拝に向かいます。四重にめぐらされた垣根の 最も外側「板垣」のご門をくぐり「外玉垣」の前でお払いを 受けた 後、一般の 方は入れない鳥居の内側へ120名全員が通されました。玉 石を踏みしめて中へ 入ると、「内玉垣」の前で拝礼。ここより内側は皇族方 が 入られる聖域であり、最も本殿に近い垣根は「瑞垣(みずがき)」と呼ばれる と教えて頂きました。 参拝を終えたあと、言葉にはできない誇らしさで胸が一 杯になり、体にみなぎる 力を感じました。この度の栄えある献華式に参列させて頂く機会 を頂いた事 に、深く感謝申し上げたいと思います。
この日、サプライズ!な幸運がありました。 一つは、神馬(しんめ)に偶然出会えたこと です。しかも、私たちの方に向かって歩いて来るという驚き。 この神馬は、毎 月1日・11日・21日の早朝に、ご正宮前に牽参するそうで す。そのため に、菊のご紋の衣裳をつけて お目見えするということで、なかなかお目にかかれない馬なのだそうです。 神職の方にお許しを得て、写真を撮らせていただきました。
11月3日、東京日本橋高島屋で開催された 華展を拝見しました。
初代家元・勅使河原蒼風先生の「草月五十則」より”いけばなは絵だという、音楽でも、彫刻でもある”
四世家元 勅使河原茜先生のインスタレーションは巨大で、激しいリズムを感じさせるものでした。
写真ではインスタレーションの全貌をとらえることはできませんでしたが 一部を掲載させていただきます。
「いけ花2015 古流松藤会展」 華展を拝見しました
東京池袋の東京芸術劇場で行われた古流松藤会展を、11月3日 拝見いたしました。
古流家元 松藤斎 六世 池田理英先生の迫力ある作品(大王松・青桐・石化 柳・梅擬・ダリア ほか) をはじめとして、古典花・現代花 いずれも気迫のこもった作品でした。