いけばな嵯峨御流

華務長の部屋

いけばな嵯峨御流 華務長
華道家

辻井ミカ

Profile

辻󠄀井ミカ先生は、祖父・父の跡を継ぎ昭和43年より嵯峨御流に入門され、平成2年派遣講師となり本格的に華道家としての活動を開始される。

平成8年華道芸術学院教授に任命されたのを始め、華道評議員、華道理事、華道企画推進室副室長等の総司所役職を歴任、平成16年より平成26年3月まで弘友会司所の司所長に就任される。

そして平成26年4月1日より華道総司所華務長に就任。
現在、日本いけばな芸術協会常任理事、大正大学客員教授を務められる。

華務長からのお知らせ

嵯峨御流敷寿会司所 創立73年記念いけばな展

令和6年10月12日、三重県総合文化センターにおいて、<秋うらら>のテーマのもと開催された敷寿会司所創立73周年記念いけばな展。開会に際し、大覚寺より堤大恵 財務部長様が祝辞を述べられ、続いてわたくしも一言お慶びの言葉を述べさせていただきました。
作品を拝見して、コロナのため開催できなかった70周年記念華展への熱い想いと、先輩諸先生方への深い祈りの気持ちも込められているように感じました。
特に、初代司所長が大切にされてこられた素晴らしいお道具の数々は見事な御品です。また、当流独自の哲学によりできた「盛花自然態応用・景色いけ七景三勝」は、立体的な設営と会場のドームを効果的に生かされていました。
それぞれの作品からも熱意を感じ、活気に満ち満ちた華展でした。

 

日本いけばな信越展 嵯峨御流後期出品者

新潟伊勢丹で明日14日まで開催の日本いけばな信越展、後期も拝見しました。 嵯峨御流後期出品作品をご紹介いたします。
会場は、新潟駅からタクシーですぐのところです、本日13日は19:00まで(入場は18:30まで)。明日最終日14日祝日は、16:00まで(入場は15:30まで)

日本いけばな信越展 嵯峨御流前期出品作品

現在、新潟伊勢丹で開催中の日本いけばな信越展 嵯峨御流前期出品作品をご紹介いたします。

後期展は明日14日(月・祝)まで開催しております。

日本いけばな芸術信越展

新潟伊勢丹で14日まで開催される、日本いけばな芸術信越展を拝見のため、華道企画推進室室長青野先生とご一緒に新潟へ向かっています。今日の富士はまるで走る龍に乗っているかのようです。
 
信越での日本いけばな芸術展は20年ぶり9回目、初日の開会式には名誉総裁常陸宮妃華子殿下の御臨席のもと行われたとYouTubeなどで紹介されていました。
11日までは前期、12日から14日までは後期で、新潟、富山、長野の3県から22流派、総作品数は170品余りの出品です。
嵯峨御流からは、
前期に5作品7名
後期に5作品5名が出品しています。
開催時間は
10:00〜19:00(入場は18:30まで)
11日と14日は
10:00〜16:00(入場は15:30まで)

梶井宮御流 三千院での華展

10月7日。美しい雨の京都・大原。道中の木々や苔の緑は光輝いて、雨の日は格別美しく感じられます。
今年も梶井宮御流の華展が三千院で開催され、拝見に伺いました。会場の作品のうちより、お家元の2作品のみ、写真でご紹介させていただきます。

10月6日。読売新聞社大手町スクールでの講演。

大覚寺ご開創1150年を記念して、その前年に当たる令和7年に、東京国立博物館において「特別展『旧嵯峨御所 大覚寺-百花繚乱 御所ゆかりの絵画-』」が開催されます。

主催は
旧嵯峨御所大本山大覚寺。
東京国立博物館。
読売新聞東京本社。

この特別展「通称 大覚寺展」(令和7年1月21日から3月16日)の関連講座として見どころがもっとわかる、待ち遠しくなる講座として、読売新聞東京本社内 大手町スクールで、合計5回の講座が企画されています。

第4回目がわたくしが担当させていただいた講座「嵯峨天皇のいけばな」でした。
次回はお写経について、11月30日(土)14:00〜15:30喜和田龍光様のご講演とお写経です。お申し込みはこちらからどうぞ。
https://www.ync.ne.jp/otemachi/kouza/202410-18012205.htm

10月6日は、50分間の持ち時間をややオーバーして、前半はパワーポイントで「自然への畏敬の念と草木を愛しむ嵯峨天皇の大御心」をテーマに、お話ししました。後半は、旧嵯峨御所の雅な大覚寺の風景をデモンストレーションでご覧いただきました。
1.景色いけの原点でもある、1200年以上姿を変えずに存在する日本最古の庭池「庭湖の景」
2.池に浮かぶ竜頭鷁首船を花器にしたものに、紅白の蘭。
3.源氏物語にも出てくる大覚寺と、大覚寺が鎮座する嵯峨野の野辺の風情を描写「野辺の景」
4.お迎え花として、「深山の景」「晩秋をテーマにした瓶花」


講演内容は、
 1200年前、大沢池に咲く菊を手折られて殿中の瓶にいけられ、可憐な野菊にも等しく備わっている生命の尊さに感動された天皇が、「爾今 花を生くる者は宜しく之をもって範とすべし。」と仰ったことから、この嵯峨天皇の大御心を嵯峨御流の理念として、以来連綿と伝え続けていること。
 嵯峨天皇は天皇のお立場で自ら花をいけられた初めの御方であること。
 嵯峨御流は、1人の家元が興した流派ではなく、嵯峨天皇のに始まり、旧嵯峨御所に様々な流派や花道家が仕官し合流してできた、大きな流れであること。対外的に、昭和50年から嵯峨御流を流名としていること。
 嵯峨御流には、嵯峨天皇が愛された自然の風景をいけばなで表現する「景色いけ」という当流独自のいけ方があること。命の源は水であり、連続した水の流れが織りなす自然環境と人との調和によって風景が生まれること。
守りたい自然の原風景、また取り戻したい心象風景を、景色いけの理念と型をもとに身近な風景を美しくいけばなで表現し、自然に関心を持つことから環境保全の心を広めることを、今までも、これからも嵯峨御流はやっていくこと。
 地球が気候危機に直面している今、SDG’sの到達目標の一つである世界の環境問題に対して、日本人として世界の人々とも絆を深めながら、残すべきもの守るべきものを見極め、次世代につないで、自然環境を守りたいという心を育てる。人々が安心して暮らせる平和で美しく豊かな世界を実現する、これらを目標に嵯峨御流は地道に、全国106司所と一丸となり取り組んでいくこと。
など。以上要約。

818年、弘仁9年、疫病に苦しむ国民の姿に心を痛められた嵯峨天皇は空海のおすすめにより旧嵯峨御所であった今の大覚寺で写経を書いて祈りを捧げられた、その大御心をいけばなで表すことが嵯峨御流の信念です。大覚寺の歴史とともに、これからも命の大切さと、自然と人の調和により平和がもたらされることを、花で伝え広めて行きたいと、今日の講演にご参会の皆様や読売新聞社ご関係の方々の出会いを通じて、わたくし自身思いを深めることができた貴重な経験でございました。

瑞饋祭(ずいきまつり)

10月になるとソワソワ。お一日から五日までの間のどこかで、ずいき祭のずいき神輿を拝ませてもらいます。
 
北野天満宮ゆかりの「瑞饋祭(ずいきまつり)」。西の京御旅所というところに、御神輿の屋根をずいき つまり里芋の茎で葺き、全体を穀物や野菜、草花、乾物を使って作られた、ずいき神輿が祀られているのです。
瑞饋祭の「ずいき」の音が「瑞気」、「随喜(嬉しい)」に通じる、と記してあります。
 
お神輿の四隅には根のついた頭芋をお顔に見えるように彫刻してあるそうで、頭芋は京都の白味噌のお雑煮に丸ごと入っている、あの頭芋です。柱を覆う紫は千日紅、一柱に2000個も使うそうです。鳥居の上の黒い部分は炭に見えるけれど、墨と絵の具は使ってはいけないといわれているとのこと、上等の黒いお海苔で。壁にみえる白い部分はわらづとを割いて紙に貼る、と大変なお手間です。のべ40人の西の京の地元の方が1ヶ月くらいかかって作られ、もっと前からこれらのお野菜や草花を育てるところからされているそうで、お祭を継承される方々の熱い熱い想いに敬服いたしました。
ちょうど花園小学校の生徒が、このお祭りの保存会の方のお話を聞く、学習会をされていたのを横で聞かせてもらいました。

令和7年御題「夢」の作品と御題花器の発表会。9月26日。

嵯峨御流では毎年、天皇様が催される歌会始の御題に因んだ作品と花器を創作して、新年に全国の門人の皆さまと共に御題花をいけています。
令和7年の御題は「夢」です。将来実現させたい理想や希望と解釈して、渋沢栄一氏の座右の銘と言われる「夢七訓」を取り上げ、そこから触発を受けて創作した御題花です。創作した花器は「夢」の漢字をイメージしたものです。
夢の漢字の成り立ちについては諸説ある中、夕暮れ(夕の部分)に草むら(草冠の部分)からものを見ている(罒の部分)様子」の象形という事ですから、このたびの御題としては、「草むらから未来を見つめる目」と前向きな意味にとらえて制作しました。
扁平な形で上から見ると目の形をしています。色は若緑釉、総じて緑からイメージされるのは平和、安定、安全、中立、新鮮、健康、生命力、自然など。バランスを整え、優しく平和な気持ちになれるものでもあります。
さらにこの花器、4つ繋ぐと七宝の形になり、さらに3つずつ足していくと七宝つなぎの模様になっていきます。置き方を工夫すれば葉っぱのようにも、月桂樹の冠のようにもなり、夢が広がる器なのです。
お正月は御題花をいけていただくとして、常にこの花器をフル活用していただきたいと思います。わたくしからは合計9作品をいけてテキストに載せ、ご提案していますが、どのように使うかは挿花者の創意と工夫で。

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